2020/08/08 23:06

   

今年の夏は始まりも無く終わりもきっとわからないままなんだろう。

子供の頃 、永遠に続くんじゃ無いかと感じた長い暑い夏休み。皆で車で行った海。    
紺碧の真ん中でぷかぷか浮いて浜辺の方を見た景色。
場違いな音楽が流れてきても、真っ赤なシロップのまずいかき氷を食べても、うるさい大人の話声も
都会で暮らしている子供には、それはそれでとっても夏っぽかった。
夕方、日焼けした肌に涼しい風を感じると少し大人になったような気分がして
まだ温かい砂が足の裏にまとわりつくのも心地良くて、探し歩いた宝もの。
家に帰って靴の中から出てきた砂とその綺麗な石や貝殻を大切に紙にくるんで引き出しに入れた。

その時のたからものはそのまま何も変わっていない。
遅れて描いた絵日記も日焼けして茶色くなってもまだここにある。
その瞬間の景色や温度、匂いや音や感触を含めて「もの」だとしたら今あるのはなんだろう。
ざらついた画面の向こうにいつかきっとまた懐かしい眩しい「もの」を届けられるように
切ないこの夏をもう少しだけ。




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