2026/04/27 11:30

                          

KEHAIについて
そっと優しく香り、寄り添い、消えていく、儚いけれど、忘れられない思い出のような。
表現し難い気持ちを込めています。

ずっと以前から香りには憧れがありました。
私が日頃制作しているものは、長年にわたって形が残るものです。
一方、香りは形が無く次第に消えていき、その時の背景、感情と共に記憶され、ふとした時に思い出します。
音楽も少し似ていて、聴覚で感じ取り、想像して、感情が落ち着いたり、揺さぶられたりします。

私の憧れる香りとは身近に感じた、遠い記憶のようなものです。
子供の頃に好きだった本の紙、お母さんと行った牧場の草や土、マッチに火をつけた時の煙、真夏の夕方の海辺、バイクに乗って長いトンネルを抜けたら雨が降っていた時。
そんな様々な情景はいつも匂いと共にありました。
絶対に戻れない一瞬です。
一瞬で消えていく体験は素敵だし、その香りを表現することはArtのようにも感じられました。
そこで、オリジナルのジュエリーにオイルを垂らすことでほのかに香るフレグランスオイルを作りたいと思いました。
そのための香りのジュエリーはオイルを垂らすディフューザーの役割は持ちつつ、それだけで身につけても違和感の無いデザインを考え、ネックレスとイヤーカフに組み合わせられるチャームを制作することにしました。

香りのプロダクトの制作
2024年末にタイミングよく調香師の方と出会って、香りを作っていくことになりました。
2025年1月から、打ち合わせをして、emamimaのジュエリーのカテゴリーの中からSPACE,ABSTRACT,TENDERPUNKという3タイプをイメージして作っていただくことになりました。

どれも私の想いの強いシリーズです。それゆえ、抽象的で尖ったイメージのせいか、作っていただいた香りは、私にはかなり強く感じられました。
元々市販の香水は苦手な方なので、なかなか思い描くイメージを上手く伝えられず、私なりに勉強しましたが、どれも違うように感じました。

パリでの展示
そうこうしているうちに時間が経ってしまい5月に。兼ねてから希望していたパリの展示会への出展が決まりました。
そこで考え方を変え、カテゴリーで考えずにemamimaというブランド、つまり私が体験してきた中からいいと感じる香りにフォーカスすることにしました。
桜や抹茶、お香などわかりやすい和の香りではなく、前述の体験からくる私的な香りです。

天然香料を使って優しく香ることを前提に、何パターンも作っていただきました。
森林のような、お相撲さんの椿油のような、お寺のお香ではないけど日本的な、イチジクのような、でも柑橘じゃない。。などなど、色々提示し、いや違いますね、じゃあこれでは?
など、何度もやり取りをしていく中で、3本に絞られました。

お客様や知り合いにもその時のオイルを嗅いでいただき、さらに2本に絞りましたが、パリに行く9月までに2本を作るのは厳しくなり、結果1本に絞りました。
ところが、渡航前に送っていただいたオイルはイメージしていた香りとは少し違っていました。
香りのジュエリーは早い段階で完成していたので、オイルは試作品として持参して展示しました。
パリファッションウイークは、フランス国内だけでは無く、イギリス、イタリア、東欧などいろいろな国の方々が来場します。
みなさんとても気に入ってくださっているようで、たくさんの方が足を止めて見て話してくださいました。
その中でもFAB UKの方の感想に感動しました。こちらは出展作品についての記事です。
(ご興味あれば2026年1月11日のブログをご覧ください)

フレグランスオイル完成
さて、しかしオイルは試作品で、まだ販売できる完成品には至っていません。
帰国後また調香師さんとイメージに近づけるためのやり取りを重ねました。
そしてついに、4月に完成し販売を開始できることになりました。
1年ごしで完成したフレグランスオイルです。
香りの名前は「日本家屋」としました。(4月12日のブログをご参照ください)

以下はトップからラストノートまでの調香師さんのイメージです。

トップ
ピンクペッパーとジンジャーが効いた爽やかさと落ち着きが共存した感じ
ミドル
シダーウッドとブラックティーのドライ感が柔らかく包み込む印象
ラスト
タバコの品のある苦味が効いたレザーを連想させる印象

これに加え、私の一番気に入っているところは、ミドルからラストあたりに干し草のような香りがするところです。これはその時の湿度や温度によっても変わってきますが、先にお話した牧場で嗅いだような、草や土の香りでした。

時間をかけて作ったのは、私がどうしてもこのような体験をしたかったからかもしれません。
とても気分が安らぐので、今は思いついた時に1滴木に落としています。
香りは減衰していくので、普段香水をつけない方にも、おすすめです。(身体に付ける香水ではありません)
つけた方がそこに居た気配(KEHAI)は記憶として残るかもしれません。

ぜひそれを体験していただきたいと思っています。

粘り強く完成まで付き合ってくださった調香師さんに感謝いたします。



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